事業承継 ガイドライン

2018.08.27事業承継 ガイドライン

事業承継の重要性(中小企業庁 事業承継ガイドラインより)

1 中小企業の事業承継を取り巻く現状

1)中小企業の重要性

中小企業は、我が国の企業数の約99%、従業員数の約70%を占めている。中小企業の成長を後押しし未来に承継していくことは、日本経済が持続的な発展を続けていくために必要不可欠な取り組みとなります。

(2)中小企業の現状と経営者の高齢化

昭和50年代には、平均5%であった経営者交代率は、2011年には2.46%まで落ち込みました。これに伴い、1995年頃には47歳前後であった経営者年齢のボリュームゾーンも、2015年には66歳前後と高齢化しています。

経営者の引退年齢が平均で67~70歳前後であることを踏まえると、事業承継の円滑化に向けた取組は喫緊の課題であると言えます。

(3)中小企業における事業承継の現状

①後継者確保の困難化

廃業予定企業の廃業理由は、

ア、当初から自分の代でやめようと思っていた(38.2%)

イ、事業に将来性がない(27.9%)

ウ、後継者が見当たらない(28.6%) となっています。

②親族外承継の増加

後継者確保の困難化等の影響から、近年、親族内承継の減少と親族外承継の増加が生じています。

(4)早期取組の重要性

事業承継の準備には、後継者の育成期間を含め5~10年程度を要することから、60歳頃には事業承継の計画を立て、後継者の確保を含む準備に着手することが不可欠です。

 

2 事業承継とはどのようなものか

(1)事業承継の類型

①親族内承継

親族内承継とは、経営者の親族に事業を承継させる方法である。相続等により株式や財産を後継者に移転できるメリットがあります。しかし、多額の相続税がかかったり、事業を承継しない相続人から遺留分減殺請求を受けたりするデメリットがあります。

②従業員承継

親族外の役員・従業員に事業を承継する方法である。能力のある人材を見極めて承継するとこができるメリットがあります。しかし、株式や事業用資産の承継に多額の買取資金がかかるデメリットがあります。

③社外への引継ぎ(M&A等)

株式譲渡や事業譲渡等(M&A)により承継を行う方法です。広く候補者を外部に求めることができ、また、経営者は会社売却の利益を得ることができる等のメリットがあります。

 

(2)事業承継の構成要素

①人(経営)の承継

人(経営)の承継とは、後継者への経営権の承継を指す。そのためには、後継者候補を選定し、十分な後継者教育を積ませる必要があります。

資産の承継

事業を行うために必要な株式や事業用資産の承継。株式・事業用資産を相続等により承継する場合、多額の相続税等が発生することがあります。

 

③ 知的資産の承継

ア)知的資産とは何か

知的資産とは、企業における競争力の源泉である人材、技術、技能、知的財産、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなどの経営資源の総称です。

イ)知的資産の承継のために

自社の強み・価値の源泉がどこにあるのかを現経営者が理解し、これを後継者に承継するための取組が極めて重要です。