農地の納税猶予の適用を受けている者が農業法人を設立する場合

2018.08.23農地の納税猶予の適用を受けている者が農業法人を設立する場合

相続税、贈与税の納税猶予の対象農地について、農業法人(農地所有適格法人)に貸し付けた場合、納税猶予の適用を受けることは出来るのか?

 

農業経営基盤強化促進法等に基づく事業による貸付け(特定貸付け)が行われた場合には、納税猶予の打ち切りにはなりません。

 

特定貸付けとは、次の事業による貸し付ける場合をいいます。

1、農地中間管理事業の推進に関する法律第2条第3項に規定する農地中間管理事業のための貸付け

2、農業経営基盤強化促進法に規定する農地利用集積円滑化事業のうち、農地所有者代理事業又は農地売買等事業のための貸付け

3、農業経営基盤強化促進法に規定する利用券設定等促進事業(農用地利用集積計画)の定めによる貸付け

 

この特例の適用を受ける手続き

特定貸付けを行っている旨を記載した届出書を、特定貸付けを行った日から2月以内に、「特定貸付けに関する届出書」及び「特定貸付けに関する市町村等の証明書等を添付する必要があります。

その書類を提出したときは、その特定貸付農地に農地等に係る賃借権の設定はなかったものとして、農業経営は廃業しないものとされ、納税猶予の特例は継続されるのです(措置法70の6の2①)。

 

特定貸付者が死亡した場合

上記の規定の適用を受けた人が(特定貸付者)が死亡した場合、その相続人(息子)が特定貸付農地等を相続により取得した場合は、通常の農業に使用していたものとして、相続税の納税猶予の規定を適用することができます。

 

☆注意点☆

〇20年の営農継続で免除されることとなっている農業相続人が特定貸付けを行った場合は、それ以降、この免除規定は適用されず、相続人がなくなるまで、納税猶予が免除されることはなくなります。

 

〇通常の農家が法人化を行う場合、農地利用集積計画による貸付けで行うことになると思います。この貸付けは、豊橋市の場合はJA豊橋で行っており、年に2回、4月と9月のみです。検討される方は、時間的余裕をとり計画する事が必要となります。

 

〇また、法人の設立は新規営農となるため、農地利用集積計画では、農地法3条の許可が必要になります。その際、納税猶予の適用を受けている土地では計画の適用に入れることが出来ないため、納税猶予の適用を受けていない土地で5,000㎡が必要になってきます。