未払い残業代 源泉所得税の取り扱い

2017.12.25未払い残業代 源泉所得税の取り扱い

社会問題となっている長時間労働に対し労働基準監督署の調査や監督指導が一層強化されています。

指導が入った場合、未払い残業代の支払いが行われますが

所得税の取り扱いは、
①一時金(清算金)として支払われたときは、当年分の給与
②個々の実労働時間に基づき過去の給与として支払われたときは、個々の給与
といして取り扱われます。

法人税は、一時金か過去の給与であるか関係なく、当期の費用として損金算入されます。

☆所得税は支給方法により取り扱いが異なることになるので、注意が必要です。
所得税法基本通達36-9では
「支払日が定められているものについてはその支給日、支給日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日」となっています。
つまり、一時金として支給した場合、賞与を支給した場合と同様に、当期に支給することが確定した給与に該当するこのとになります。よって、過年分の所得税や住民税について修正する必要はありません。

一方、過年分の給与として支給した場合、本来支給すべきであったそれぞれの年分の給与となります。
この場合、源泉徴収義務者である会社や個人事業主は、残業代を支給した時点で過年分の年末調整をやり直し、納付不足分を未払い残業代を支給した月の翌月10日までに納付する必要があります。
また、源泉徴収票の再作成に加え給与支払報告書を訂正して各自治体に再提出する必要があるので、注意が必要です。

最後に、社会保険料について

残業代の未払いが生じた場合、社会保険料の修正も必要となります。
社会保険料については、賞与を支給した場合と同様に処理することが多いようです。
これは、事業者の事務負担軽減に加え、保険料の納付には2年の時効があり、3年以上前の期間については納められない仕組みとなっているためです。